スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

にじゅう!

家が燃えているんだ、と言った。君とこの子が取り残されて、助けに行きたいんだけど、焼けた家具に阻まれてなかなかたどり着けないんだ。枕に頬を預けた夫はどこか遠い場所を眺めている。青い明け方に私はささやく。私たちは外にいる。取り残されているのはあなたなの。だからそこから、出ておいで。