スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

よんじゅいち

初めて見た恋人の唇は想像よりも厚かった。左の口角に小さなほくろ。顔の半分が隠されていた頃よりやんちゃに見える。目に表情が出にくく(笑いじわが出来る人を羨ましがっていた)、機嫌は声で推し量ることが多かった。でも今は、笑っている。これまでも、マスクの下で笑ってくれていたのだろうか。