スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

じゅういち

新しい部屋には前の住人宛の郵便物がよく届いた。野菜と健康食品のカタログ、宗教新聞(神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった)、海の絵葉書(オークランドは真夏みたいな暑さです)。全部捨てて、彼女はどこに行ったのだろう。最後に爪を切ったのか、流しの下に転がる爪切り。