スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

みっつめ

学校でもどこでも、いつも眠っているやつだった。理由はつまらないから、成長期だから、眠たいから。ぺたんこの学生鞄に、奇妙な本が入れっぱなしになっているのに気づいたのは俺だけだ。あいつが寝ている間は取り出してよく読んでいた。ひんやりと明るい、二十六歳で死んだ歌人の本。