スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

さんじゅろく

百秒、息を止めたら嘘がばれない。二百秒なら今夜のご飯はハンバーグ。深夜の街で思い出し、そっと息を止めてみる。もう私の嘘を咎める人も、夕飯を作る人もいない。あの奇妙な祈りはなにも成さずに、今頃アラスカ辺りを漂っているはずだ。三十秒で苦しくなり、大きく息を吸う。電車の音が聞こえる。