スプーン一匙の物語

ツイッター(@maru_ayase)で書いた短い短い小説の保管庫です。

じゅうはち

心優しく精悍な、私たちの社会を支える重要な柱の一人だった男が死んだ。沢山の人が花を捧げて彼の不在を嘆いた。私たちは不安で仕方なかった。会場の端でうつむいていた彼の息子が立ち上がり「これからは僕が父になります」と言った。私たちは安心して位牌の戒名を書き換えた。今日も平和な一日だ。